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「おかえり」
玄関を開けキッチンへ向かうと、彼女である愛菜が笑顔で待っていた。
同棲をしている訳ではないのだが、食生活の乱れを防ぐ為、毎夜晩御飯を作りに来ている。
春樹は無愛想にキッチンを通り過ぎ、自室へ戻る。
ガラステーブルの上へ車のキーを置き、ソファに座り込む。
「ふぅ……」
長時間稼働の疲労が、自然に溜め息を吐き出させる。
「今日も調子悪かったの?」
不安げな顔立ちで、愛菜は料理をテーブルの上へ並べる。
春樹は返事を返さず、無言のまま料理を口に運ぶ。
愛菜は雰囲気で結果を把握し、違う話題へ変えようと口を開いたその時、携帯の着信メロディーが部屋中に響いた。
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