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抽選まであと数人。
春樹は後ろポケットの財布を手にし、中から一枚の抽選券を取り出す。
そして愛菜へ視線を映した。
「ジャジャーーンッ!」
嬉しげな笑みを浮かべて、抽選券を春樹に見せびらかす。
「なんで持ってんだ?」
「さっき拾っちゃった」
何が始まるのか分からない愛菜も、この長蛇の列に興奮しているのか、先程までの怒りは消え去っていた。
少しだけ舌先を出し、悪戯っぽい表情で春樹を見つめる。
「あっそう……」
溜め息を吐きながら視線を正面に戻すと、抽選の順番がそこまで迫っていた。
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