開店

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  「では、どうぞ」 男の店員が一辺30cmぐらいの抽選箱を指差す。 取り出し口は10cmぐらいで、その周りは切れ目の入った黒いゴムで覆われている。 当然だが、中は見えない。 春樹は抽選券を渡し、ゆっくりと腕を入れる。 指先から徐々に箱へ入って行く。 手首まで入ると指先に感触を覚える。 (ほぼ当たりだが、これも完全確率……外れたら帰ろう) 迷わず一番最初に触れた紙を取り出す。 太陽の光が何かに反射して、一瞬視界を遮られる。 「おめでとうございます。店内へどうぞ」 紙の色は赤だった。 春樹は店員の言う事を無視して、数歩進んでから立ち止まった。  
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