3023人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、どうぞ」
男の店員が一辺30cmぐらいの抽選箱を指差す。
取り出し口は10cmぐらいで、その周りは切れ目の入った黒いゴムで覆われている。
当然だが、中は見えない。
春樹は抽選券を渡し、ゆっくりと腕を入れる。
指先から徐々に箱へ入って行く。
手首まで入ると指先に感触を覚える。
(ほぼ当たりだが、これも完全確率……外れたら帰ろう)
迷わず一番最初に触れた紙を取り出す。
太陽の光が何かに反射して、一瞬視界を遮られる。
「おめでとうございます。店内へどうぞ」
紙の色は赤だった。
春樹は店員の言う事を無視して、数歩進んでから立ち止まった。
最初のコメントを投稿しよう!