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「とにかく外へ出よう!」
愛菜が小さく頷いた事を確認すると、春樹は顔を上げて周囲を見渡す。
(ミリオンは確か(コインが)自動補給だった筈だよな。だとしたら天井裏に大量のコインが通ってることになる。この激しい揺れに耐えきれず、天井が抜けたとしたら……)
誰にでもその惨劇は、容易に想像できる。
春樹は立ち上がり足を踏み出そうとしたが、狭い通路は逃げ惑う人で塞がれていた。
「痛いけど我慢しろよ」
愛菜の手を強く握り締めて、力ずくで壁になっている人々を掻き分ける。
二人の行く手を拒むかの様に、激しい揺れは治まらない。
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