開店

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  「もう少しだから我慢しろな」 僅か一歩進む事に苦労しながらも、二人は漸くコンドルのコーナーを抜けた。 そして店の出入り口が視界に入ったその時、どのくらい続いたかも分からない激しい揺れは、突然にして止まった。 しかし、店内にいる客達の混乱はすぐに治まらず、右往左往する人々でカウンター前はごった返す。 「余震があるかもしれない。一旦外に出たほうがいいと思う」 愛菜の返事を待たずに手を引っ張り、出入り口へ向かう。 目の前に同じ考えの客を数人挟み、残り1メートルぐらいで脱出出来る所まで辿り着く。 春樹は安堵の溜め息を吐いた。  
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