3023人が本棚に入れています
本棚に追加
辺り一面を染めた血液から逃れる様に、春樹は愛菜の手を引っ張りながら、一歩二歩と後退りした。
「何がどうなってんだよ?」
視線を血液が延々と流れ出る下半身から外し、自動ドア越しの外へと移す。
しかし漆黒の闇しかその目には映らなかった。
逃げ惑う人の姿すら映らない。
すぐそこにある筈である男の上半身も見えない。
「邪魔だ!」
呆然と立ち尽くす春樹を後ろから押す様に、他の客達がドアへ向かう。
「なんだこりゃあ!」
切断された男の死体を中心に半円が描かれる。
誰もドアに近付けない。
中には余りにもグロテスクすぎて、嘔吐する者もいる。
最初のコメントを投稿しよう!