開店

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  辺り一面を染めた血液から逃れる様に、春樹は愛菜の手を引っ張りながら、一歩二歩と後退りした。 「何がどうなってんだよ?」 視線を血液が延々と流れ出る下半身から外し、自動ドア越しの外へと移す。 しかし漆黒の闇しかその目には映らなかった。 逃げ惑う人の姿すら映らない。 すぐそこにある筈である男の上半身も見えない。 「邪魔だ!」 呆然と立ち尽くす春樹を後ろから押す様に、他の客達がドアへ向かう。 「なんだこりゃあ!」 切断された男の死体を中心に半円が描かれる。 誰もドアに近付けない。 中には余りにもグロテスクすぎて、嘔吐する者もいる。  
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