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勇気ある者が血の海を歩き、自動ドアに手を掛けて力ずくで開けようとするが、びくともしない。
今度はガラス部分に体当たりで突進するが、傷一つ残らずに跳ね返される。
「…………」
春樹は無言で反転し、そのドアと反対方向へ歩き始めた。
半円を描いた人々の群を抜けると、普段とはまるで違う雰囲気に気付く。
「真っ暗……」
愛菜が呟く。
ミリオンは外からでも中の様子が分かる様に、壁の大部分がガラス張りになっている。
客付に自信がある店ならではの造りだ。
日差しが強くなると台に反射してリールが見え辛くなるので、ブラインドを降ろすのだが、それまでは太陽の光が差し込んでいる筈である。
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