開店

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  しかし、外の景色は先程の自動ドア越しと同じで、漆黒の闇が一切の視界を遮っていた。 「そういえば店員見た?」 春樹の質問に愛菜は首を傾げて、辺りをキョロキョロと見回した。 「見てないよな……」 気にしていなかったのか再び首を傾げる。 「カウンターに行ってみよう」 カウンターはすぐそこにあるのだが、店内にいる殆どの人々が出口へ押し寄せている為、店員の存在ははっきりと確認出来なかった。 10メートル程の距離を人込みの流れに逆らいながら突き進む。 「いない……」 漸く辿り着いたが、推測通り店員の姿はなかった。 春樹は繋いでいる反対の右手で顎を擦りながら考え込んだ。  
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