3023人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、この状況がどういった状況なのか把握しなくちゃな」
弘斗は座ったまま、後ろの闇に覆われたガラスへ視線を移した。
「なんで朝なのに真っ暗なんだ? なんで自動ドアに挟まれただけで、人が死んじゃうんだ? なんで店員がいないんだ?」
姿勢を戻してポケットから、しわくちゃの煙草を取り出し、一本を口に咥える。
「あれっ?」
続けてポケットをまさぐるが、目当てのライターが見つからない。
春樹は自慢のジッポーを取り出し、金属音を響かせて火を点けると弘斗の目の前に差し出す。
「気が効くねえ」
春樹は苦笑いを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!