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駅へと続く大通り。
雪が降ってきたからだろうか、人が多く感じる。
ふと立ち止まって辺りを見回す。
「カップルばっかり…。」
寄り添っている二人、楽しそうに手をつないで。
「ほら見て初雪!!」
君と、あんな風になりたくて…。
初めて作った手編みのマフラー…どうしたら渡せたんだろう??
「意気地なしっ…。」
怖かっただけ。
思い出になるだけなら。
思い出しか残らないのなら。
「このままで構わないの…。」
それは…本当なの??
ありがと、サヨナラ。
いつかこんな時が来てしまうこと、わかってたはずだわ…。
なのに…。
ありがと、サヨナラ…??
体が震えてる。
「もうすぐ列車…くるのにっ…」
それは今になって、私を苦しめる。
つながりたい…。
どれほど願っただろう。
この手は空っぽ。
なにひとつ、残ってはくれない。
「…ねぇっ…サヨナラってこういうことなのっ…??」
行かなくちゃ。
そんなのわかってる。
君がやさしいことも知ってる。
だからっ…
「この手をはなしてよっ…」
出会えてよかった。
君が好き。
ありがと、サヨナラ。
一言が言えない。
言わなくちゃ、大丈夫だからと震える手を握りしめて。
お願いっ、今だけでいいから…私に勇気をくださいっ…。
「あのねっ…っ…」
言いかけた唇。
君との距離は0。
重なった唇が、とても熱くて。
今だけは…ないていいよね??
もう言葉なんていらない。
だから…ギュッとしていて…??
「来年の今頃には…どんな私がいて…」
「…どんな僕が、いるのかな??…楽しみだね。」
照れくさそうに笑う君。
二人で笑って、またキスをして…。
あなたが…大好きで。
「ねぇ、ドラマみたいな恋って何!!」
「えっ…??うーんと…」
「ただいまー。」
「あ、パパが帰ってきたぁっ!!」
そういって玄関にかけていく。
二つに縛られた髪が、楽しそうに跳ねる。
「ただいま。」
「おかえりなさいっ!!」
初めての「恋」が終わる時
初めての「愛」が始まった
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