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その頃、蓮は俊介を捜しに林を歩いていた。
「(あいつどこ行きやがった?)」
夕方には旅館に戻れと言われている。だから、早く見つけなければ叱られるだろう。
「(そんな事より、無事だといいんだけどな…)」
そんな思いを胸に、雑木林の中を突き進む。
意識をすれば、あの日の光景が目の前に広がる。俊介が溺れかけ、蓮が自身の中にある力に気付いたあの日が。
「(あんときもっと速く走れれば、追いつけたかもな…)」
ぼんやりと、部活に不真面目な自分に後悔しつつ辺りを見渡す。何かがいる気配がしたのだ。
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