95人が本棚に入れています
本棚に追加
「モルモにアイリス、ね。
お前らは何でこんな場所にいるんだ?」
率直な物言いに戸惑うアイリスだったが、何も返してこないのを見るなり、
「……まあいいや。
取りあえず、この町に入れただけ幸運だってことだな」
言って、チェスターは踵を返した。
「俺は依頼を終えたから街に戻る。ついでに送ってってやるよ。ここら辺は難民には危ないからな。
……こっちだ」
付いてこい、ということらしかった。
カノンノが苦笑しつつ、手招きをする。
アイリスとモルモは、手招きをされるがままについていった。
「アイリリーに着いたらどうするのかな…?」
ずっと感じていたアイリスの疑問は、口に出せば上手くモルモに伝わってくれて、共感しているかのように彼は小難しい顔をした。
「うーん…どうしよっか。何処かに行くにしても…何処に行ったら良いかわからないし…」
「行き場がないの?」
ハッと顔を上げたアイリスは、カノンノの視線が此方に向いていることに気がついた。
「だったら、私に良い案があるわ」
私も同じだったのよ、と後に付け足したその言葉は、とても小さかった。
最初のコメントを投稿しよう!