第一章 ~目覚め~

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「チェスター!」 カノンノが叫んだ。 彼女の声を聞いて、アイリスも何処かほっとした。その声には、さっきとは全く違う雰囲気が、…安堵と喜びに満ちているような感じがして。 青年―チェスターは、カノンノを見るなり顔を綻ばせた。 ついさっき、男たちに見せた挑発するような表情とはうってかわって。 「カノンノ!無事だったか…」 「ごめんね、心配かけて」 申し訳なさそうにちょっと顔を俯かせて言う。しかしチェスターは笑顔のままだ。 「気にするなよ、カノンノ。 ……で、ちっと聞きたいんだが」 突然此方に顔を向けられて、思わず硬直してしまった。 だが、彼はそれを気にも止めず、 「カノンノ……こいつらは誰だ?」 と呟いた。 「初対面の人に向かって『こいつら』は失礼よ? ……難民なんだって」 「難民か…」 カノンノの表情につられてか、難しい顔になるチェスター。 アイリスには、『難民』という言葉が何をあらわすのかさっぱりだったが、勘違いされていることは理解できた。 「じゃあ、クラトスのところに連れてくか?」 「そうね。保護してあげないと……」 「あのー…ちょっと待ってくれないかな」 モルモが堪えかねてそう口に出す。と、チェスターが目を丸くした。 その視線は、モルモに向かっている。 「ペットが喋った!?」 彼の一言が、余計だったらしい。 「オイラはペットじゃないやいっ!モルモって言うんだよっ! んで此方はアイリス!」 ペット扱いされたことに怒りつつ、きちんと此方にも話題を向けてくれる。 「えと…宜しくお願いします」 取りあえず、アイリスはぺこりと頭を下げた。
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