◇―プロローグ―◆

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《久間谷町》 ザー…ザー… 「はぁ…はぁ…」 男が額から汗を吹き出しながら、大きく膨れ上がった紙袋を5つ引きずって歩いている。 スタッ…スタッ…スタッ… 「るんるんるーん♪」 その5歩先を、女が軽やかな足取りで歩いていく。 国本「優香里さ~ん!荷物重たいんですから、もうちょっとゆっくり歩いて下さいよ~!」 南条「ゆっくりなんてしてられないわよ!欲しいもの…まだまだ沢山あるんだから♪」 国本「ま…まだ買うのぉ…?」 国本は呆れた表情を浮かべ、その場にへたり込んだ。 国本「ねぇ…こんなに洋服とか買って…お金は大丈夫なの?」 南条「大丈夫に決まってるじゃない!…忘れたの?昨日受けた依頼を解決して受け取った依・頼・料☆」 国本「あ~…あの依頼人すごいお金持ちだったからなぁ…確か、提示した依頼料の10倍のお金置いていったんだっけ…」 国本は思い出すように、口に出して言った。 南条「…でも…今思うと、気味の悪い依頼だったわね…」 そう言いながら、南条は座り込む国本の前まで戻ってきた。 南条「…だって、"灰色の小石を出来るだけ多く集めて下さい"よ?…あんな小石ばっかり集めて何する気なんだろ~ね?」 国本「う~ん…理由は分からないけど…あの依頼人、嬉しそうに小石の入った袋を持って帰ったから…無事解決したってことで良かったんじゃないの?」 南条「まぁ、そうね…それより今は、買い物買い物ショッピ~ング~♪」 上機嫌な南条は、前に向き直ると、国本には目もくれず、再び歩き出した。 国本「相変わらず買い物好きだな~…優香里さんは…(笑)」 国本は小さくそう呟くと、南条の後を追って、歩き始めた。
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