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ひったくり
「あんなひょろい男に…捕まってたまるかよ!」
バッ!
ひったくりはそう言って方向転換すると、細い路地へと入っていった。
国本「止まりなさ~い!カバンを返しなさ~いッ!!」
国本もそれを見逃さず、細い路地へ突入した。
ひったくり
「しつけーな…ちきしょう…」
ひったくり男は、苛立ちを隠せない様子だ。
国本「あ…」
国本は、ひったくり男の少し前に、壁に背を預けてタバコを吸うハットを被った男がいるのに気付いた。
国本「すいません!この人!ひったくりです!捕まえて下さい!!」
体力の限界を感じていた国本は、その男に全てを託した。
ひったくり
「どけどけどけぇ~!!」
ハットの男
「……?」
男は、ひったくり男に気付くと…
スッ…
…右足を前に突き出した。
ガッ!!
ひったくり
「なっ…?!」
ひったくり男がそれに気付いたのは、その右足に足を引っ掛けてからだった。
バシィンッ!!
ひったくり
「い…いてぇッ…」
豪快に地面に叩きつけられたひったくりは、鼻血を流しながら顔を押さえた。
ハットの男
「…男の一服を邪魔するから悪いんだ…」
男はそう言って、倒れているひったくり男の背中を押さえ付けた。
国本「あ…あの…ひったくり捕まえて下さり、ありがとうございました!…助かりました!!」
国本は深々と頭を下げ、ゆっくりと頭を上げながらあることに気付いた。
国本「あれ?もしかして…渋澤さん?」
渋澤「…やっと気付いたか…久しぶりだな、国本!」
ハットの男の正体は、かつてソルバーブラックとして、国本と共に戦っていた渋澤秀夫だった。
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