~プロローグ~

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  私がたつと呼んだこの少年の名は松房 龍斗(マツブサ タツト)。   私の家の前の道路を挟んだ向かい側に住んでいる同い年の幼なじみだ。     私の家とたつの家とは家族付き合いもあるほど仲がよい。   そのためよく三人一緒に遊んでいた。   むしろ私はかず兄とたつとしか遊ばなかった。     この日は私を真ん中にして三人仲良く手をつないで帰った。     たつはあまり表情が豊かではなく口も悪いところがあったが、私はたつの私に対してたまに見せる優しさや強さを知っていた。     そんなたつは私の初恋の男の子であった。   しかし中学に入るころ、たつは私と同じ中学校に入学するはずだったのに、その入学式でたつの姿を見つけることはできなかった…。     それと時を同じくしてかず兄がこの世を去ったのだった…。  
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