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時計の時間は八時をまわっていた。完全に遅刻だ。少年は慌ててパジャマを着替えて、家を出る。いつもの声で。
「行ってきまーす!」
少年の名前は小野 一。まだ小学五年生のサッカー小僧だ。まだこの時の彼はだが…
彼は走りに自信があった。今日も学校へ全力疾走した。信号を無理し、自転車をすり抜けるようによけて、学校へ到着した。無論、遅刻であった。
彼はすでに職員室へ呼ばれるのは三回目なので慣れていた。話を聞き流すように仁王立ちして、長い話が終わるとすぐに逃げ去り、いつもの五ーAに戻っていった。
彼が教室に入ると、彼はすぐに異変に気付いた。立ち尽くす彼に、クラスの少年が声をかける。
「どうしたんだよ、イチ?」
彼は小さな声で訊いてみた。
「あの女の子は誰なんだ?」
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