全ての始まり

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クラスの少年は呆れ顔で答える。 「何言ってんだよ。あの子は九月に転校してきた神村 志織ちゃんだよ。ホラ、アメリカのなんとかって所からさ…」 彼は人の名前を覚えるが苦手だ。しかも、例の遅刻癖のせいで、自己紹介の時にいなかったのかもしれない。しかし、そんなことはどうでもよかった。問題は何故、彼女の服の胸ポケットに謎の生物がいるのかだ。あの生物に彼は仰天していたのだ。彼はクラスの少年に再度訊いてみた。 「あの変な生き物は何だよ?虫みたいなのが見えるだろ!?」 少年はまた呆れ顔だった。それもそのはず、少年には見えていないのだから。少年は無言のまま彼の前から立ち去っていった。 授業中も彼の興味は尽きることはなかった。もちろん授業ではなく羽根付き生物の方だが… すると志織は立ち上がり先生に何かを申し出ている。まさか自分がジロジロ見るから気持ち悪いとでも言ってるのかと彼は思った。やがて、志織は自分のバッグに荷物を入れている。どうやら、早退するようだ。なぜか彼は淋しそうな顔をしていた。その淋しそうな顔に小さな生物は手を振っていた。間違いなく彼に振っていた。そうだということは私が保証しよう。彼は目を擦り幻じゃ…ん?私が誰かって?まぁそれはもう少し話を聞きてからになさい。幻じゃないと確認した彼はあと続くようにして、早退していった。
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