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安全そうな道を選び、美希を抱えたまま走るシュウ。
走るのは早いが、人一人抱えている分速度は落ちる。
倒れてきたビルに潰されそうになったり、パニックになった人でごった返す街の中を、黒い弾丸のように駆け抜ける。
地を蹴り壁を蹴り、飛ぶように走り去る。
亀裂が広がる。街が二つに裂ける。
裂けた街を背に、シュウと美希はモビルスーツ工場にたどり着いた。
パラパラとコンクリートの落ちる施設内をひた走り、格納庫にたどり着く。
電気もついていない格納庫には、一機だけ灰色の巨人が横たわっている。
ZGMF-1017 ジン。
ザフトの機動兵器。
開いたコックピットに飛び込む。シートに座り、手早くシートベルトを装着する。
「美希、シートの後ろに」
「わかったの」
喋りながらも手早く機体を起動させ、ペダルを踏み込む。
頭に一つの赤い光が灯り、機体がゆっくりと立ち上がる。
「しっかりつかまって、美希!」
言いながら、シュウは機体を発進させた。
亀裂に飛び込み、真空で光もない宇宙空間に勢いよく飛び出す。
同時に、先ほどまで二人のいたコロニーは、見る影もないほどに砕け散った。
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