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「おいアペーン。エロ姫が屋上に行く前に、先回りして隠れるぞ」
最後の授業が終わるや否や、康介は俺に近づいて耳元で囁いた。
「アペーンってなんだよ。馬鹿にしてんのか? 俺は行かないよ、帰ってポケモン見なきゃ」
「あぁ馬鹿にしてるよ、だって馬鹿だろ? ディスイズ――アペーンって。……ぶはっ!」
余程ツボだったらしい。俺の机をバシバシと叩き、さも楽しそうに笑い出す康介。
おい、ひそひそ話はどこにいった? 両耳のどでかいピアスをぶちっと取ってやろうか考えていると、急に康介は真面目な顔になった。
「それと、素直になれない点も馬鹿だよな。お前、エロ姫の事好きなんだろ?」
「ほざけ」
俺は鞄を手に取り、立ち上がって歩きだし、そして康介に首根っこを掴まれて自由を失い、強引に引きづられて屋上に向かった。
……見た目通り、康介君は腕力たっぷりですね。
屋上に着くと、都合良く古びた清掃用ロッカーが、仲良く二つ並んでいた。
「このロッカーにはな、たまに俺とエロ姫が入ったりするんだよ。さぁ入れ」
そう言って康介は、左側のロッカーを開ける。
「……何故?」
「あん? 入んなきゃばれちまうだろうが」
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