姫子と俺

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   姫子と俺は、物心が付いた頃には既に一緒だった。いわゆる幼なじみってやつ。  鬼ごっこ、かくれんぼ、なわ跳び、お絵かき……等々、幼い頃は毎日の様に二人で遊んだ。  幼少期の彼女は、いつも楽しそうにニコニコと笑う、とても可愛らしい子だったな。  まぁ高校生になった今でも、めちゃくちゃ可愛い事には変わりないんだけどさ。 『幸ちゃん幸ちゃん。姫ねぇ、大人になったら幸ちゃんと結婚するんだ』 『うん姫ちゃん。結婚しようね』 『ほんと!? 約束だよ? ゆーびきーりげーんまん――』  当時を思い出すと、俺は思わずくすっと笑ってしまう。幼かったとはいえ、よくこんな話をしたものだ。  姫子は――相澤姫子は今も覚えているだろうか?  きっと今の彼女なら、「えっ? そんな約束したっけ? 初体験の約束じゃなくって?」なんて言うに違いない。  そんな子だ、彼女は。  俺たちは、幼稚園、小学校、中学校、そして高校と、どういう訳かほとんど同じクラスだった。  だから多分、彼女の“成長”ぶりを、源ちゃんの次ぐらいに見てきたはず。  
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