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「よいしょっと」
姫子がそんな事を言って立ち上がるもんだから、俺は堪らずぷっと吹いた。
「何だよ、姫子だっておばさん……いや、ばあちゃんみたいだぞ」
すると姫子は、手を腰に当てながら、背筋をピンと伸ばす。
大きな胸が、今にもワイシャツを突き破りそうだ。
パッツーン! ってワイシャツのボタン飛んでくんねーかな。いやマジで。
ピンク色の妄想がほわわんと浮かび、俺は一人赤面した。
「ふふっ、このピチピチのおっぱいを見ても、ばあちゃんなんて戯れ事が言えるかね。何なら触ってみる?」
指先でちょんちょんと自分の胸をつつく姫子。
その様子を見て、母ちゃんは眉間に皺を寄せて、静かにフライパンを持ち上げた。
「ば、ばか言うなよ! ほら行くぞ!」
俺は姫子の手をもう一度握り、慌てて玄関を飛び出した。
外に出た瞬間、真夏の太陽光が俺達に降り注ぐ。どこまでも体をいじめ続ける、忌ま忌ましくもあり、そして愛しくもある奴。それが真夏の太陽。俺様系だな。
「……あっちぃな。勘弁してくれよ」
溜め息をついて、俺は姫子の手を離そうとした。
だが彼女は、握る手に力を込めてそれを拒否する。
「離せよ姫子、暑苦しいだろ」
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