2009人が本棚に入れています
本棚に追加
「いよぉ、石田っちにエロ姫。相変わらずお熱いねぇ」
校門の手前で、同じクラスの杉山康介に出くわした。
ツンツンと立てた金色の短髪に、両耳にぶら下がるどでかいピアス。誰が見てもいわゆるヤンキーだ。
だが康介は、話してみると案外良い奴だったりする。それプラス、姫子なみに変態だったりする。
ちなみに、石田っちとは俺の事。幸成って呼ぶのは、母ちゃんと姫子、それから姫子の親父さん――つまり源ちゃん位しかいない。
何故かは分からないが、石田っちって呼ぶ奴がやたら多い。黙って石田にしておけよ、文字数少ないから。
「よっ! こうすけべ。今日も元気か?」
じろじろと康介の下半身を見ながら、姫子が言う。
「あたぼうよ!」
そして二人は、意味ありげににししっと笑った。俺ドン引き。
「そうそうエロ姫! 今日の保健……いよいよアレらしいぜ」
唐突に始まった『アレ』話に内心興味津々だったが、興味の無いふりをして、俺は一人歩き出す。
ところが、まことうざったらしい事に、康介は俺の左、姫子は俺の右に、ぴったりと寄り添う様に着いて来やがった。
「マジっすか!? アレ? いよいよアレなの?」
「おう、いよいよアレだ。待ち侘びたぜぃ」
左からアレ、右からアレ。
……あぁ、アレって何なんだろ?
最初のコメントを投稿しよう!