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仏頂面になる俺には横で遼が、拗ねたか…というような苦笑いは見えなかった。
学校に着いた俺は、鞄を机の横に引っ掻けたあと、携帯で時間を確認。授業まで時間がなければその辺をぶらぶらして時間潰ししたが、今日はワリと早く着いたらしい。30分の余裕を獲得した俺は机に突っ伏して寝息をたて始めた。
授業が始まり教科書を手に持ちながら黒板に何かを書き始める教師の背中を意味もなく見ていると、視界の外から丸めた紙切れが飛び込んできた。
こうゆーの、ベタだよな…と思いながらくしゃくしゃの紙を広げる。赤色の文字で書かれた文はこんな内容。
御自宅にお届けに上がりましたのでお知らせします。
「?」
何の事だ?俺は何も頼んでないし最近通販で買い物などもしてはいない。
これを投げたのはどいつだ?
俺は教室を見回したが誰とも目が合うことはなかった。最有力候補者の遼は隣の奴と何やら話で盛り上がりを見せていて笑いを堪えているのか口に手を当てていた。
ならば誰だ?俺の席は完全窓側だし校舎の三階、つまり最上階だ、屋上はあるが俺の机にピンポイントに投げ込む余地はないし、そもそも教室内から飛び込んできた。普通、投げ込んだ人間はその人のリアクションを見るためにチラとでも伺うはず。
「なんだってんだ。新手の嫌がらせか?」
そんな事を考えていたら授業終了のチャイムが鳴り響いた。
訳も分からず放課後。
一応遼に紙切れの事を聴いたが
「俺は昨日見たテレビの話してたから知らん。お前も見たか?あのテレビの奴マジ笑えるな!あの人芸人になりゃ絶対売れるし!まぁ俺の中ではちょっと話の内容を―。」
勝手に話の内容が変わってしかも何か熱く語り始めたから無視。
タイミングが合わなかったかもしれなかったから次の授業でも教室を見たが成果無し…で、何事もなく放課後というわけ。
遼は部活があるから帰りは1人。すれ違う人からも何も言われないから都合はいいが、今は紙切れの事が妙に引っ掛かっててそれどこではなかった。
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