2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
学校は、とても憂鬱なものだった。
私は、小学生の低学年から苛められていた。苛める理由なんてものは、何でも良かったし、なくても良かった。
たった一人のからかうような行動が、芋づるのように真似をする人ができ、それは簡単に広がっていく。そして、悪意のないような笑顔で、平気で人を傷付けるのだ。
苛められる相手なら誰でも良かったのだろう。それが、彼等、彼女等にとっては至福であり、高級な遊びだったのだと思う。
「こいつ、汚い」
幼い彼の一言が、クラスに響く。
私はわけもわからず、疑問をもった顔で彼──光くんの顔を見据える。彼は、私よりも背が低く小柄で、瞳の大きい子だった。
彼の大きな声で、小学生──低学年ならではの好奇心に彼と私の周囲に人が集まる。
一人の男の子が光くんに話し掛ける。彼に理由を訪ねたようだったが、光くんは私の何が汚いのかを言わずに、クラス中に聞こえるように、こう言った。
「こいつ、汚いんだぜ」
悪戯に笑う光くんの一言によって、私の人生を狭くさせて、苦しいものに変えた。
彼の名前を、私は生涯忘れることはない。
_
最初のコメントを投稿しよう!