嵐のSeptember

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山の奥の奥。辺りを見渡しても緑色しかないこの場所に、今回の目的地はある。 前に来たのはいつだったか……確か中学の最初の夏休みだったから4年前くらいになる。 家を出る時は、学校サボれてラッキー! とか考えてた俺に、ふとこの地の記憶が頭を過ぎる。 あのクソじじいに、8歳の時にこの森の中に「修業じゃ!」とか言われてほっぽりだされたこと。 あの時は確か発見されたのが夜だったから……半日ほどさ迷ってたのか。 他にも、あれは11歳の時か。近くの滝に連れていかれて、「修業じゃ!」とか言われて轟々と流れる滝壺に投げ出されたっけか…… 溺れてた俺を助けてくれたじじいにあの日の俺は不覚にも感謝してたっけ。原因はあいつだってのに。 後は熊の前に放置されたり、重りを背負わされて山道を登らされたり……なんかこれ怖くなってまいりました。 てかよく生きてるな俺…… かと言って、「修業」の言葉の下、恐怖で塗り固められたじじいへのトラウマは、行かなきゃ殺される、と足を前へ前へと誘うのである。 だんだん憂鬱になってきました。その気持ちを表すかのように、雲が増えてきて、どんよりと空は重たい重たい心に追い打ちをかけてくるのである。  ★ ★ ★ ★ ★ ★ そういえば、同じバスに乗っていた二人の乗客はどうしたのだろうか? 記憶が正しければ、一緒の駅で降りていたはずだ。 こんな所に観光なんて来るはずもないし、森林調査的なものなら、もっと重装備のはずだ。
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