-出会い-

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目覚ましの鳴る音がする。 うるせぇな。 止めなきゃ…。 起き上がって俺は目覚まし時計を止めた。 「…ん?」 何だか見慣れない目覚まし時計だ。だが、どこかで見たような気がする。 しかし、俺はなんで自宅にいるんだ?確か、男共にぶん殴られて気を失ったはずじゃ…。 『優一、起きたー?』 「え、あぁ…起きてるよ。」 俺に呼び掛けたのは母だった。大学に通っていてもまだまだ扶養されている身の俺は自宅から学校に通っていた。 だが、学校に通っていたのも半年くらい前までで、最近はずっと女の所に入り浸って毎日廃れた生活をしていた。 だから自宅に帰ってきたとしても久しぶりだった。更に俺の母は、俺に対して全く異常と言っても良いくらいの過保護だ。久しぶりに会った俺にこんなあっさり挨拶を済ませるくらいでは済まないのだ。 『早く、お風呂入るんでしょ?学校行く準備済ませちゃいなさい。』 「分かってるよ、うるせーな。」 なんだ?何かがおかしい。 そうだ、携帯。 店から連絡が来てるかもしれない。社長怒ってるかもなー。 …ん? 俺が昔使ってた携帯がある。しかもわざわざ御丁寧に充電器まで刺してある。 驚いた事に電源まで入っていた。 とりあえず俺はその昔の携帯を開いた。日付が9月1日になっていた。時間は目覚まし時計と一致していた。 携帯を閉じて、今現在俺が使っている携帯を探した。 しかし、辺りのどこにも見当たらなかった。 「…え、盗まれた?」 いや、今さら盗むヤツなんていないだろ、携帯盗んで金になったのなんて一世代前だよ。 「なぁ、母さん俺の携帯知らねぇ?」 「えぇ、あんたなくしたの?」
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