-9月2日-

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お湯の水 音楽の情報を得るなら最も適した場所だ。 電車で向かう道中俺は確か智とずっと会話していたはずだ。そりゃそうか。会ったばかりの女の子と親しく話すなんて、チェリーボーイだった俺には無理だったな。 「智ーあと二駅で着くからな。齋藤さんと安岡さんもね。」 『はーい。』 皆揃って元気良く返事をする。 一瞬子守りをしているような感覚に襲われる。 駅に着いた瞬間、智と由香里が元気良くホームに飛び移る。 綾子は、どんくさいな。 モタモタ学生鞄をいじっている。 「………。あのー、安岡さん?降りるよ?」 『あ、うん!』 本当こんな女のどこが良かったんだか…。 可愛くねーし、足太いし、乳にばっか栄養いっちゃって頭悪いし。 俺、乳興味ねーしな。足太いのは好きだけど。 そう、この駅から店に向かう間に俺は綾子に連絡先を聞いた。 多分この頃から気になってた。 連絡先を交換して、それだけで一日が充実したように思えたんだ。 「あのさ、安岡さん。連絡先聞いておいても良いかな?ほら、これから何かと連絡しなきゃならない事もあるだろうし。」 確かに俺はこう言った。 そうやってわざわざ言い訳つけて連絡先聞いたんだ。 『うん、良いよ!』 あの頃の一番最初の綾子のメールアドレス。 全然覚えてる訳ないのに、見ると懐かしい気持ちになる。 この日から、俺は綾子に毎日メールを欠かさずに送り続けたんだ。 そして21歳の俺は、この世界から帰りたくないと徐々に、無意識に望むようになった。
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