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バンド名が決まると集中力が切れたのか、皆好き勝手に行動し始めた。
と、いうか智と由香里はとっとと帰ってしまった。
「あれ、由香里もう帰っちゃうの?」
『私、ちょっと用事が出来ちゃって、ゴメンね。』
「まだ雨降ってんだろー。気を付けなよ。」
『あ、俺思い出しちゃった。』
「あん?」
『ロッカーに折り畳み傘おいてあったんだー。由香里送ってくよ。』
「え、ちょっ、お前…ずりーなぁ。綾子どーすんの?」
『………うん?私はちょっと考え事があって、まだここにいるかな。』
「そっか…じゃあ智、由香里、またな。俺はちょっくら便所でも行ってくるかー。」
こうして、智と由香里は先に学校を出て俺と綾子だけが残った。
「なぁ、考え事ってどうしたの?何かあんなら相談に乗るぜ?」
『…うん、ありがとう。』
「しっかし、雨やまないなー。もう6時だぜ?そろそろ帰らないと先生にどやされるぞ。」
『じゃあ、そろそろ帰る?』
「おう、これくらいならブレザーひっかぶって走って行きゃあそんなに濡れずに済むだろ。」
『そうだね。じゃあ早く帰ろう。』
でも、この後どしゃぶりになるんだよな。本当にやばいくらいに。1分外に出てるだけでずぶ濡れになるくらいに。
「だーっ!!まじかよっ!!何で俺らが学校出た途端に土砂降りになんだよ!綾子、走れるか?」
『うん、大丈夫。早く行こう。』
土砂降りの中、走ること5分。
「あーあぁ…すっかり濡れちまったな。大丈夫か?」
『いやー、ちょっとさすがにやばいかも。』
「だよなぁ、ちょっと待ってな。そこのコンビニでタオル買ってくっから。」
『ゴメン、ありがとう。』
タオルを買って、綾子に届けた。綾子は髪や制服など、水が滴る部分を入念に拭いていた。タオルはすぐに水を吸ってびしょびしょになった。
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