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古宿に着くと大勢の人でごった返していた。古宿のタルト前は人々の待ち合わせ場所として頻繁に利用される。お昼の長寿番組【笑ってよかばい!】の撮影が行われているのはこのタルトスタジオだ。いわば古宿の顔である建造物だ。
古宿は都心にある繁華街だから人が多く集まるのは当然だ。
だが、毎度の事ながらこの人の多さには気が滅入る。
『おーい!石田ぁ!』
信号の前で手を振っていたのは六年前の懐かしい山田だった。
「久しぶりだな、しゅんご。」
山田 瞬平(やまだ しゅんぺい)。
【しゅんご】というあだ名は中学校の頃のものだ。どこからどうきてしゅんごになったのかは全く定かではない。六年後の俺は【しゅんさん】と呼んでいた。
『もう皆集まってるから、行こうぜ。』
山田に付いて行きついたのは、俺も何度か利用した事のあるチェーンの居酒屋だ。
だが、六年前の真面目な高校生活を送っていた俺はここで初めてこの系列の居酒屋を知ったのだ。
中に入ると薄暗い照明で、飲むにはぴったりの雰囲気だ。
個室に入ると他のメンバーが談笑していた。
『おう、石田遅かったじゃねぇか!』
「あぁ、大野も久しぶりだな。」
大野 明史(おおの あきふみ)
中学校時代はバスケットボール部に所属していた、中学校二年の頃に北海道から転入してきたんだ。
人の扱い方が上手い奴でな、ふとした所でいつもコイツには驚かされた。
『ほらほらイッシー何やってんのー!早く座ってー、はいっ、何飲むの!?』
半分出来上がっている状態で話しかけてきたのは宮間 香織(みやま かおり)だ。
頭は、良いのか…?
勉強はとんでもなく出来ないが人の心の痛みなら誰よりも分かる女だ。知性がない故にその長所が全く活かされないでいる宝の持ち腐れってところか。
それからもう一人
「山崎 徳華(やまざき のりか)」
のりぴーの愛称で親しまれる宮間とは対照的に落ち着いた性格の頭の良い女だ。悪く言えば、冷たく高飛車、かな。
そして俺を含む5人で飲み会は行われた。
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