1人が本棚に入れています
本棚に追加
『俺が出会ったアイツは、今の俺じゃ想像もつかない格好してた、長髪で、裏原系の服装だったな。』
俺は食い入る様に大野の顔を見つめた。
『名は藤村 陽介(ふじむら ようすけ)と名乗っていた。』
「それがわかんねぇ、何で名前が違ったんだ。」
『どうやらアイツも以前までは大野 明史として生活していたらしい。だが、ある日を境に生活していた環境が変わった。本人の意思ではなく、朝起きたら、勝手に…。』
「そのある日ってのが…。」
『そうだ、9月1日だ。』
そして大野は続ける。
『そいつは朝起きたら藤村陽介になっていた、全く生活した事のない場所、全く知らない人の連絡先、当然あったのは大野 明史としてのそれまで生活していた記憶だ。』
「じゃあ、その…お前の顔をした藤村君は俺の事も知ってるって事か?」
『そういう事になる。』
「じゃあ、それまでに生活していた藤村 陽介の精神はどこにいったんだ?」
『それが、不思議な事に、全く知らない人の連絡先ばかり入った携帯だったのに、全員の顔と名前が一致して頭に浮かぶらしい。そいつの性格やら、どんな付き合いなのかも全て正確に。』
「それは…精神が融合したと考えるのが普通か…?」
『それしか考えようがねぇな。』
「あーもう訳わかんねぇ。ちょっと整理させてくれ。」
最初のコメントを投稿しよう!