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頭の中で今までの出来事を全て整理した。
今、この六年前の世界にいる大野 明史は二人。
ただしもう一人は藤村 陽介と、全く別の名を語っている。
同じ顔、同じ背丈で。
そして、藤村 陽介の中にある精神は紛れもなく六年前の大野 明史の精神であった。だがそれと同時に、藤村 陽介の記憶も混在している。
あとは、この状況をその藤村 陽介が受け入れたかどうか。
『アイツ、藤村 陽介として楽しくやってるみたいでさ。俺の事情も話したら特に理解してくれて、このままで良いって言ってくれたんだ。』
「へぇ、良い奴だな。」
『ちなみにそのまま大野として生活していたら六年後どうなっていたかも話したよ。』
「…それはまずいんじゃねーの?」
『どうしても聞きたがってたからさ。ちゃんと大学に進んで全うにやってるよって、それ以外の事は言ってない。』
「まぁ…あっちは高校生だしな、そんなに深く悶々とはしないだろ。」
『しかし、これではっきりしたな。』
「………。」
そう、この世界にはもう一人【石田 優一】が存在する。
そして今もどこかで生活を続けている。
いつか顔を合わせた時に、俺の存在を認めてくれなければ俺はただじゃ済まないだろう。
一体…どうなるんだ。
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