-愛の重さ-

4/5

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
何かの間違いだ、そう思って俺は綾子の気持ちが落ち着くまで待った。 アイツは昔からそうだ。落ち込むときは物凄く落ち込み、酷いときは一月全く食事を摂れなくなる。 最初にその特徴を知ったのは俺がアイツと付き合い初めて半年過ぎた頃。 デートの日程を決めようと持ちかけた所、ある日にちに、この日はお願いだから一緒にいて。と頼まれた。 何でも、友達の命日らしかった。その友達は、綾子と中学の同級生で、中学三年生の時に亡くなったという。 詳しい話はこうだ。 綾子とその亡くなった友人はとても仲が良く、二人でつるんでいた。友達の家は母子家庭で、二人姉妹の妹だった。 その日、綾子と友人は二人でカラオケに行っていたらしい。 そのまま何も問題なく、二人とも楽しく、帰宅した。 無事に。 しかし、それから問題が起こった。 翌日、綾子が学校に登校した時。友人は学校に来なかった。 心配した綾子は友人の自宅へ向かい、友人の母に容態を訊ねた。 『ゴメンなさいね、風邪で寝込んじゃっててね。すぐに良くなると思うから心配しないでね、ありがとう。』 綾子は彼女の回復を待ったが彼女はついに2ヶ月学校に姿を現さなかった。 当然その間にも彼女の母に訊ねていたのだが、入院した、面会謝絶だ、などとあしらわれ彼女に会うことは叶わなかった。 その頃はまだ携帯電話も普及していなかったから、中学三年生でも携帯電話を持っている子供なんてほんの僅かだった。当然綾子も携帯電話なぞ持っておらず、連絡手段は自宅電話だけだった。 そして… ある日綾子が学校へ向かおうと家を出ると、フラッシュの嵐が綾子を包んだ。 無数の報道陣。 綾子には何が起きているのか分からなかった。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加