-愛の重さ-

5/5
前へ
/55ページ
次へ
『平山奈緒さんの御友人の方ですか?!今回の事件についてどう思われますか?!』 『えっ、えっ??』 その頃の綾子はとにかく戸惑い、訳が分からなかったという。 走るように逃げ去り、学校へ辿り着いた綾子はそこで全ての真実を知った。 彼女、平山 奈緒は既に亡くなっていた。 そう、綾子とカラオケに行ったあの日に。 母親によって殺されていたのだ。 なぜ、そんな事が起きたのか。 平山 奈緒はどうやら素行の物凄く悪い女生徒だったようだ。 母親がそれはもう手を焼く程に。 彼女の母親は眠っている彼女を起こして進路について話したかったそうだ、だが素行の悪い彼女は起きた瞬間にぎゃーぎゃー騒いで暴れだしたという。 そこでどうしようもなくなった母親が、静かにさせようと、首を絞めて殺害してしまったようだ。 何とも悲劇的な話である。 学校で事実を知ったその日から、綾子は何一つ口にせずに半年近く過ごしたらしい。 綾子の気持ちが落ち込んだ時は尋常じゃなかった。 何も食べない。 水すらも口にしない。 本当に科学的に証明出来ない体質だと思う。 綾子のそういった気持ちの落ち込みは俺が付き合っている頃に何度もあった。 毎年の友達の命日から数日間。 それから、俺が親に怒られてヤケになって家出したりした時だ。 人の死の重さと同じ度合いの愛で綾子は、俺に接していたんだ。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加