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朝の気だるい感覚。
太陽がゆったりと昇ってきて、少しずつ気温の上昇が感じられる今朝。
コーヒーの香気を感じながら、まだ明るいうちに咲いた月にがぶりとかじりつく。
月から広がったすそと、肌白い肉が口の中に広がり、
甘さと、淡白な卵の味が混ざり合う。
ワインは血であり、パンは肉である。
イエスさんが仰ったことも、なかなか言いえて妙ではある。
「コーヒーもなかなか……」
挽いた豆の香りに誘われるように、ゆっくりと黒い宝石を舌の上へと転がす。
ほのかな暖かみと、鼻へ抜ける風味が、起き掛けの頭をゆっくりと覚醒させていく。
インスタントコーヒーの濃い味になれていた舌が一瞬物足りなさを訴えつつも、
順応するが如くに味の深みが一口ごとに増していく。
やや広めのリビングを一人で占領しての朝食。
小粋なジャズでも流したくなるような日が、今日も来た。
朝日がさんさんと差し込むリビングは、私の小さな城であり、
心の大黒柱のようにもなっていた。
誰にも侵略されず、誰からも占領を受けず。
差別もなければ区別もなく、ただのんびりとした時間が秒針の針によって進められていく。
生きるために必要なものがここにある。
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