鮭と蛍とビーフジャーキーと、私という名の古酒

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「俺はお前が羨ましいよ、魂が連れ去られそうな感じって味わったことないもん」 馬鹿か?お前馬鹿か? 「だって最高のトリップだっていうじゃないよ、麻薬いらず」 アッハッハ、と爽やかな笑い声が聞こえたのを最後に、私は受話器を置いた。 どうせ冗談なのはわかっているが、こいつのこの天然なまでの爽やかさが塵ムカつくのだ。 霊感のある奴のどこか空気がねっとりしたような先入観が作り出したイメージは彼にはまるでない。 「ついでに好青年かよ…モテ過ぎて尻が爆発すればいいのに」 都会人ならではのかっこよさを身につけ、ビビりになったくらいしか変わってない私と、田舎で昔と変わらず爽やかに生きている鮭。 奇妙な組み合わせだとは、…思わないが、とりあえず恋愛関係にはなりえない仲ではあるな、とは昔から思っていた。 そしてそれは、大学で確信に変わる訳である。 …さて、こっからが本番。  
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