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「サタ、いつか俺がそっちに行くよ」
だから戻ってくるな、と言ったのは誰より鮭であった。
「わずかの罪悪も感じちゃいけない、サタの親類のせいだとしてもサタ自身のせいじゃない。だから前だけ見て生きるんだ、着いて行かせないようにするから。」
意味不明のことを爽やかに滔々と言い聞かせられてから、昨日徹夜で作ったんだというお守りを手渡された。
「…いい嫁になれるよ鮭川」
綺麗なそれは市販のものより多少豪華に出来ていた。
龍の刺繍が繊細過ぎて涙が出てくる。
「電話してよ、サタン」
「その呼び名はやめなさい」
鮭は爽やかに笑い、私も精一杯爽やかに笑った。
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