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「やっと終わったぁ……。待たせて悪ぃ。昴(すばる)」
間延びした声に顔を上げる。
職員室から出てきた修二が心底疲れた様子で肩を落とす。
新学期早々呼び出されるなんて休みの間の課題をほったらかしていたか、この金色の頭髪の2つに1つだろう。
なんせこの尾崎修二は一年時には学園で教師に呼び出された回数がたった一年の在籍期間で一位を断トツで記録したほどである。
今なお退学になっていないのは新、学園の七不思議に認定されている程不思議だ。
「いんや、両方言われた。反省文5枚だってよぉ」
「……」
担任になってしまった山根教諭には憐憫の意さえ浮かぶ。
コイツには何を言ったって馬耳東風、聞く耳持たないのに頑張って更正させるつもりらしい。
生徒を思いやれるいい先生なのだろう……、だがこいつに関して言えば無駄骨だ。
「あれ、絶対Sだぜぃ。彼氏出来ないって嘆いてたけどSっ気が強すぎるんじゃねぇかぁ?」
ほら言わんこっちゃない。
「はぁ……飯食いに行こうや」
馬鹿の説教を待っているだけで昼休みが半分潰れてしまった。
急がないと食事を取れなくなりそうだ。
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