序章

2/2
前へ
/23ページ
次へ
  何を書こうか、 すごく迷った。 私が死ぬ理由や 今の心境なんかを 切々と語る気にも なれないんだもん。 いろんな想いが交錯してて 複雑すぎて、私には それを言葉で表現できる 自信が無いわ。 それに、大事なことは 「私が居なくなる」っていう 事実だけで 私が死んだあとの人間を 納得させる必要なんて 無いよね。 だって私にはもう 関係無いんだから。 だから遺書なんて本当は いらなかったんだけど。 だけど伝えるべきことは ひとつだけある。 だから私は 机上に並べられた 可愛らしい封筒と便箋に 向かい合った。 封筒には、 「私と関わった全ての人へ」 と。 便箋には、たった一言 「ありがとう」  
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加