prologue

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 桜が舞っていた。 それはまるで、薄ピンクの雪のように……。  綺麗で  本当に綺麗で  綺麗過ぎて  寂しくて……。  心が締め付けられて……。  今にも、壊れそうで……。  苦しくて……。  悲しくて……。  でも無数の花びらの一枚を見てくれる人は、誰一人も居ない。  分かったこれは夢だ。  こんな綺麗すぎて、虚しい桜は、夢幻……。  だけど、こんな夢の中で夜桜も悪く無いな。  なあ桜?俺は、これで良いのか? 「……た……し……た……か……し……」 女の声? 「起きろや!たかし!」 「ごふぅ!」  横っ腹当たりに何かぶつかった。 「おい!ニートそこで寝てると邪魔なんだよ!パソコンが出来ないだろ!」 「……おはよ」 ……おはよ。じゃないだろ早くどけよ!」 「今、何て言った?」 「だから早くど……」 「イタイ!イタい!イタい!イタい!イタい!」 「起きたばっかりの兄貴に何て口の効き方してんの?」  妹の腕に腕ひし十字をキメてやった。「ギブッ!ギブアップ!」  妹は、俺の太ももを必死で叩く 「妹は、妹らしくエレガントにお早う御座います。お兄さま❤っとでも言え」 「キメーだ……イタい!イタい!イタい!」  更に腕ひし十字を強めた。 「口に針刺すか❤」 「!?分かったから、ごめん、ごめんなさい!!」 「……ごめんさい、お兄さまだろ?」 「ごめんなさい、お兄さま!」  大声で妹は叫んだ。 「よろしい」  抑えていた肩と腕を放した。 「はぁー痛かった。」「幼女は、幼女らしく大人しくしてろ」 母さんも父さんも甘やかすから俺がやんなきゃ今頃アイツ子供社会で潰れてるよ。 「……ニートね、確かに」
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