誰?

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 時々、圭吾は幸春の知らない顔を垣間見せることがある。  笑顔も、声も、昔から知っている圭吾のものに間違いない。  それでも、自分に背中を見せて歩いている圭吾は、全く知らない誰かのようにも思えた。 「圭吾」  呼べば、彼は笑みを浮かべて振り返る。その笑みも、まるで知らない誰かのよう。  漠然とした不安を、幸春は初めて圭吾に感じていた。
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