高久 葵 の章より。

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七瀬もオーナーも小さい頃からの顔見知りだった。 『i-koi』は元々葵の両親が常連で、小さい頃はよく家族で喫茶店にきていた。 その頃から七瀬とオーナーは犬猿の仲に見えるのに嫌いあってるわけではなくて。 …不思議な関係だと思ってはいたけど…。 二人が消えた厨房の前に来ると、七瀬の大きな声がして思わず立ち止まる。 「んだよ。俺は厨房にゃ用はねーぞ」 七瀬さん。怒ってる…? 喜怒哀楽の激しい七瀬と、それとは全く正反対なオーナーのいつもと変わりのない声が響く。 「俺だって厨房に用はない」 「はぁ?じゃあなんー……」 急に七瀬の言葉が途切れてがシャンと何かが割れた音がした。 もしかして喧嘩……!? 「七瀬さん…!?」 思わず厨房に飛び込むと、オーナーが片手で七瀬の顔を引き寄せてキスをしていた。
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