143人が本棚に入れています
本棚に追加
「っ、湊…もう…」
「ん…？ダーメ」
離れようとする葵を引き寄せ、湊はなおもキスをする。
思考回路が麻痺していく自分を感じて、ささやかな抵抗を試みてはみるものの。
湊の強い腕と有無を言わせない情熱的な瞳に捕われて、結局は無駄なあがきに終わってしまう。
身体から、お互いの体温と鼓動が伝わって熱を煽る。
とどまることのないキス。
全身で好きだって言われてるみたいで…。
瞳も腕も肌も心臓も唇も。
熱くて。
熱くて。
「…こんだけすれば充分かな」
ようやく離れた唇で湊は満足げに笑った。
「え…？なにが…？」
不思議に思って聞くと、湊はさらりと言いのけた。
「キス。されたんだろ？」
「へ………？」
「取られたもんは取り返さねーと、な？」
「……………」
「ん？どうした」
「あ…う、ううん……なんでもないよ……」
キスされたのって唇じゃなくて胸…なんだよね。
そういえばそこまで言ってなかった…んだっけ？
でも湊に言ったら今度は胸にキスする…よね？きっと。
…ひ、秘密にしておこう…かな…。
最初のコメントを投稿しよう！