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「………ッ…」
部屋には、男が服を着直す音……。
僕はその音を聞きながら、
未だ机にぐったりと体を預けたままだ。
「早く服着ろよ……風邪引くぞ?」
よく言うよ……。
あんたの我が儘に、
最後まで付き合ったんだ。
何回、あんたの欲を中で受け止めたと思ってるんだ……。
Sexも強引なら、
情事後の思いやりもないんですね……。
僕の足は未だ……、
あんたの出したモノでベトベトで、
服なんか着れる状態じゃないんだ……。
それを拭き取るモノくらい、
用意してくれたって、
いいじゃないですか……。
「……じゃぁ~な!!
また遊ぼうぜ、霄♪」
「……はい」
壊れてしまえ、こんな体……。
沢山、傷付けばいいんだ……。
欲求を満たした彼は、
また賑やかな外の空気を求めて、
部屋の扉を開け、出ていった。
雑音の交ざった大音量の音楽が、
一瞬部屋に入ってきたのを感じては、
再び逃げていく。
「……あはは…ッ…」
一人きりになった部屋で、僕は笑った。
瞼から一筋の道。
自然と流れ落ちる……。
訪れる虚しさ……。
堪え切れない思いに、唇を噛み締める。
笑っちゃうのは、
もう壊れてるから……
だけど、どう足掻いたって、
その虚しさだけは消えないんだ……。
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