第十話 真実

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『ではこの辺で…』 『えぇ…亜紀ちゃんによろしくお伝えください』 沖田はお千と、島原の入口で別れた。 『今戻りましたぇ何か、変わった事ありました?』 お千は店の、使用人に訪ねた。 『あ、女将さん!今お帰りで?変わった事無いんですが、二階奥のお侍さん方がまだ、代金支払ってくれませんで…困りました』 『まだ払わないんかっ!ちょっと話しつけてくる』 お千は苛立ち二階へ上がっていった。 寺田屋という名で旅館を営み十年以上、女一人で店を守ってきたお千。 『お侍さん方、宿泊の料金頂きに上がりましたっ!いったいいつまで、払わんつもりなん!大の男が!役人呼びまっせっ!』 お千は怒鳴りながら、襖を開いた。 しかし部屋の中には、先日から泊まっていた侍達の姿は無かった。 『あら…いや、しまへん…』 お千は力抜けた顔をしながら、もぬけの殻になった部屋に入っていった。 『汚いわ~また戻ってくるんやろか…ん?なんやこれ…?』 お千は部屋の隅に丸めてあった紙筒を、怪訝そうに開いた。 !!! 『な、なんやこれは?』 お千の眉間には深いシワが寄っていた。
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