第1章 お父さん

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家に帰るとみんなが折り鶴を作りだした。 いつか、聞いた事があった。 鶴を千羽作ったらその人の病気が治ると。 家族全員の気持ちは一緒だった。 お父さんに早く良くなってもらいたい。 そんな願いを込めながら何色もの折り紙で鶴を作った。 私は千羽折れば必ずお父さんが元気になると信じこみ、ただひたすら折り鶴を作っていた。 だけど、もうお父さんは自分の力では呼吸できなくなり、人工呼吸器で呼吸をしていた。 それでも絶対良くなると信じこんでいたのは、病気の事も何も知らされていない私だけだった。
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