第十章 トリエル城攻防戦‐2

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 ネーヴェがグランツを倒すも少し前、城外の敵を待ち構えていたマオ、イレイア、シエンの前に三人の同じ人数の騎士が姿を現した。  その若い騎士達はマオこそ知っているものの、更に二人も女性がいる事に困惑していしまう。  彼女たちは三者三様の美しさを持ち合わせているので尚の事である。  その中の一人、マークストンは自分の出番とばかりに笑みを浮かべると、マオたちに向って歩を進める。 「マオ、近衛の君が裏切るとは思えない。何か理由があるのだろ? それに他のお姉さま方もまずは話し合いませんか?」  ふわりとしたブロンドの髪を靡かせ、爽やかな笑みを投げかけた。 「うわ?、物凄いイケメンね。タイプじゃないけど」 「そんな事はどうでもいい。城の中の方が気になるわね」  シエンは本当ならば城に残って旬を守りたい所なのだが、その旬に頼まれての事なのでいい加減な行動も出来ない。 「君たちに剣を向けたくないんだ。何か言われても俺たちが弁護します。だから今は投降してください」  物腰柔らかく問い掛け、マークストンは更に距離を詰める。 「あ゛ーもう。グダグダ五月蝿い!」  せっかく体を動かすチャンスが来たにも関わらず、騎士達が一向に攻めてこないので、マオはもう我慢できずに飛び出した。  話し合いで解決しようとしたマークストンは不意を突かれる形になり、一瞬反応が遅れてしまう。 「敵を前に喋り過ぎだ」  ハルバートを振り回し、柄がマークストンの脇腹を襲う。  咄嗟に腕で防御するものの、体ごと横へと薙ぎ払われた。
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