第一章 もう一人の騎士

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「そういうセシリーは、確か朝食の当番よね?」  イレイアは引きつった笑顔をセシリーに向けて言う。 「旬~、旬~、可愛い服かったから、仕方なく見せてやるでしよ」  フルーンはフルーンで引っ張り出そうとする。 (これは……うるさい。かなり喧しい)  旬は妙にモテる感覚よりも、騒がしさに参ってしまう。  正に、女三人寄れば姦しいである。 「旬は居るか!」  部屋の扉が開き、第四の刺客がやって来た。 「今から朝の訓練だ」  アリアスはさも当然のように言うが、アリアスとの訓練は久しぶりである。 「ちょっと、待ちなさいよ。旬に訓練は必要ないわ。騎士じゃあるまいし」 「ん? イレイア殿、旬は騎士になった……いや、騎士になる予定だが?」  アリアスの言葉に、旬はやっちゃったといった感じで頭を抱える。  ジャン・ズーに付いた日は、自分の話が出来ず聞き手に徹してしまったのだ。  そして今日、二日目を迎えたわけだ。 「…………」 「…………」 「…………」  セシリー、イレイア、フルーンは唖然とした表情を旬に向けた。 「え-、はい、この度小倉旬は騎士になります」  言わずもがな、三人は驚きの大声をあげた。
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