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式典ならば盛大に行われてもおかしくなく、それが騎士のものならば尚更だろう。
そんな当然ともいえる考えは、思いのほかあっさりと砕け散ってしまった。
シェリーと出会った翌日、ついに式典を迎えたのだが、会場である謁見の間はまるでしめやかに行われた通夜のように静かである。
この日騎士になるのは旬だけでなく、シェリーもなのだがどうみてもお祝いムードが感じられない。
謁見の間には王と王妃が奥に並んで座っており、右側少し手前ではアリアスと重装備をした男がいて、左側には老人と言っても差し支えないような男性が立っている。
「それでは、騎士任命式を開始いたします」
老人は見た目よりも割とハッキリした声を出すと、ダンウェル王が立ち上がった。
因みに、裸ではなくちゃんと正装である。
「シェリー・ブランチェコ。陛下の前に」
老人の指示により、旬と並んで立っていたシェリーはダンウェル王に近付き跪く。
「まあ、とりあえず顔を上げなお嬢さん」
ダンウェル王は気取った感じはなく、普段のように下着一枚の姿だったり、王妃様にグーパンチされたりと、そっちよりの雰囲気である。
「面倒な盟約に巻き込んで悪かったな」
ダンウェル王はシェリーに向かってそう言うと、重装備の男に顎で指示を出した。
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