第二章 過程と結果

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 見よう見まねではあるが、ほぼシェリーの動きをトレースした旬は、つつがなくマントを受け取ってシェリーの横に戻る。 「以上で式は終了。続いて二人には、今後の予定を説明する。爺さん、よろしく」  式典が終わったとたんに、ダンウェル王はそれまでの力を抜く。普通に服を脱ぎそうなくらいである。  老人はダンウェル王をジト目で睨むが、当の本人は知らん顔である。  何気ないやりとりだが、この二人は長い付き合いなんだと旬は理解出来た。  それはシェリーも同じなのか、黙って眺めている。 「ゴホン。自己紹介が遅れましたな。わたくしはヨハネス・ブランド。この国の宰相を務めております」  ダンウェル王と同じように、老人は式典の時と打って変わり、柔和な感じが増していた。 「あちらの鎧の塊は騎士団長」  ヨハネスに紹介された重装備の人物は、軽くお辞儀しただけで何も言わない。  頭から爪先まで白をベースにした鎧で身を隠し、顔も兜で隠れ肌は愚か髪の毛すら見えない。 「執務ある故、失礼つかまつる」  騎士団長はくぐもった声でそう言うと、ダンウェル王に深々と一礼してから謁見の間を出て行った。 「さて話の前に、まずは二人の鎧を作る為の採寸が必要なのでな、シェリーは別室で測ってきんさい。少年、お前はここで十分だ。意味は、分かるよな?」  ダンウェル王の意図を察した旬は、シェリーにバレないよう片目を閉じて答えた。
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